新築住宅の欠陥、保障制度は? 主要部は法律で10年

新築住宅の欠陥、保障制度は? 主要部は法律で10年

  ようやく手に入れたマイホームにもしも欠陥があったら――。そんな不安を感じる人は多いでしょう。不具合が見つかって売り主に責任をとってもらうために知っておきたいのが保証の仕組みです。法律で義務付けられた保証と、売り主が自主的に提供するサービスがあり、保証期間は異なります。期限切れする前に対処することが重要です。

新築で買った場合、引き渡し後10年間は売り主が責任をもって修理することが法律で決められています。(図参照)。対象は「構造上主要な部分」や「雨漏りを防ぐ部分」で瑕疵(かし)、つまり重大な欠陥が見つかった場合です。戸建てでもマンションでも保証の基本は同じです。

この10年保証を定めた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が施行されたのは2000年です。その後、05年にマンションの耐震偽装問題が発覚しました。売り主の経営が傾けば保証を履行できない懸念が意識されました。

そこで09年に施行されたのが「住宅瑕疵担保履行法」です。現在、新築住宅の売り主は、専用の保険に加入するか保証金を法務局に供託する義務があります。10年以内に売り主が倒産した場合、住人は保険金などを受け取り修理に使えます。

「大手の事業者は供託を、中小は保険を選ぶ傾向がある」と、さくら事務所の川野武士氏は話します。万一のときに備え、売り主に確認しておきましょう。

法律で決められていない箇所で不具合が見つかったらどうなるでしょう。新築物件では多くの場合、売り主が自主的に保証サービスを提供しており、法定以外の不具合を対象に含めることもよくあります。

注意したいのは保証の期間です。売り主や不具合の内容によりますが、「保証期間を2年程度とするケースが多い」(川野氏)ようです。せっかく保証が付いているのに、不具合を放置した結果、期限切れしてしまったということは避けたいものです。

戸建ての場合、給排水管やガス配管の破損、天井や床の破損は2年保証が一般的です。照明や冷暖房の作動不良は1年という例もあります。シロアリ損傷を5年とする場合もあります。保証書の内容をきちんと確認しましょう。

ただし、売り主がプロである場合、たとえ保証期間が過ぎていても、欠陥について責任を追及できる可能性もあります。宅地建物取引業法では、宅建業者は瑕疵の責任を最低2年間負うと定めているためです。

同法は、責任対象である部分については細かく決めていません。保証サービスで期間1年とされていても、瑕疵があると認められれば、2年間は売り主に責任を追及できると考えられます。

ちなみに中古住宅は品確法の10年保証ルールの対象外です。一方、宅建業法は新築と中古の区別をしておらず、中古物件もプロは最低2年の責任を負います。近年は中古住宅向けに、瑕疵をカバーする専用保険が整備されつつあります。中古住宅の購入を考えているなら事前に調べておいてもいいでしょう。

[日本経済新聞朝刊2017年7月8日付]