「体臭」の真実をどれだけ知っていますか

01. 体臭の発生源として、大きく分けて「体内」「腸内」「体表面」の3つがあげられる

02. 「体内」を発生源とする体臭は、ホルモンや生理機能の変化により皮脂の分泌や活性酸素が増えることで起こる

03. 「腸内」で発生する体臭は、食べたものが腸の中で分解、発酵する際に発生したガスが体内で吸収され、汗や口臭として出るもの。便臭や腐敗臭などもそのひとつ

04. 「体表面」で発生する体臭は、汗と皮脂、皮膚上の常在細菌によって発生するニオイ。一般的に「体臭」といえばこれをさす

05. 汗には、エクリン汗腺から出る汗とアポクリン汗腺から出る汗の2種類がある

06. 汗や皮脂は、分泌された直後は無臭である

07. 汗や皮脂を細菌が代謝・分解したり、空気中の酸素によって酸化したりすることでニオイ物質が発生する

08. エクリン汗腺は全身の至るところに分布し、ひとりに約200万~500万個、平均して350万個もあるといわれる

09. エクリン汗腺から出る汗の成分の99%が水、1%が塩分

10. アポクリン腺はわきの下、外耳道、へそ、肛門の周辺など限られた場所に分布し、毛穴と出口を共有する

11. 体臭には、「汗臭」のほかに「ミドル脂臭」「加齢臭」なども含まれる

12. それぞれのニオイは、原因や発生部位が異なる。また年代によってニオイの強さのピークが異なる

13. 汗臭は、新陳代謝が活発な10代半ば~20代半ばに強く出やすく、主にワキで発生する

14. 汗臭は皮脂と汗を常在細菌が代謝分解することで発生し、酸っぱいニオイが特徴

15. ミドル脂臭の発生は30代~40代がピーク

16. ミドル脂臭は後頭部・頭頂部・うなじを中心に発生し、使い古した油のようなニオイが特長

17. ミドル脂臭の原因成分はジアセチル。加齢臭とは異なるニオイ成分として2013年にマンダムが特定した

18. ジアセチルは汗の中の乳酸が皮膚上の細菌に分解されると発生し、中鎖脂肪酸と混じることでミドル脂臭となる

19. 加齢臭は40歳以降に少しずつ出始め、50歳以降に本格化するのが特長

20. 加齢臭は皮脂の分泌が活発な頭部、自分では気づきにくい耳の後ろ、首の後ろ、背中や胸などに発生しやすい

21. 加齢臭は皮脂に含まれる脂肪酸が空気中の酸素により酸化されてニオイ成分が発生するもの

22. そのニオイ成分は「ノネナール」と呼ばれる。加齢とともに皮脂中のパルミトレイン酸(脂肪酸)が増加し、それが空気中の酸素によって酸化されることでノネナールに変化する

23. 加齢臭は男性だけでなく女性にも発生する

24. ただし男性ホルモンに皮脂の分泌を促す働きがあるため加齢臭は男性のほうにより強く、早く出る傾向にある

25. 「加齢臭」とは、2001年に資生堂が、中高年特有のニオイの存在を化学的に裏づけて命名したもの

26. 「ノネナール」は資生堂の登録商標

27. 加齢臭のニオイのもと、ノネナールには水に溶けにくく肌にこびりつきやすいという性質がある

28. 酒を大量に飲む人は加齢臭が強くなる傾向がある。アルコールを摂取すると、肝臓でアセトアルデヒドに分解される時に活性酸素が発生、ノネナールの生成を促すため

29. 加齢臭は一般に「油の腐ったニオイ」「線香のようなニオイ」「ポマード臭」などと表現される

30. ノネナールは自然界では野菜や植物にあり、「にんじんをボイルしたときのニオイ」などといわれる

31. 加齢臭は夏より冬のほうが匂いやすいという説もある

32. ニオイが「臭い」か「いい香り」か判別しているのは鼻ではなく脳(大脳皮質)

33. 女性は白血球の血液型ともいえるHLA型が自分と異なる人のニオイを好ましく思う傾向があるとの説がある

34. そのため、自分に近い遺伝子を持つ父親のニオイを「不快」と思う女子が多いともいわれる

35. ヒトの嗅覚は鋭敏である一方、すぐに順応するという特長がある。この現象は「嗅覚疲労」と呼ばれる

36. 嗅覚が完成される3~4歳頃までに祖父や祖母がいる家庭で育った人は加齢臭を不快なニオイとして認識しない傾向がある

37. 自分の匂いが相手を不快にしていると思い込む自臭症(自己臭恐怖症)など精神疾患を患う場合もある

38. 体臭のセルフチェック法は、シャワーを浴びて自分の体臭に慣れた嗅覚をリセットし、脱いだ服の臭いを嗅ぐ

39. ワキガのセルフチェック項目としては、耳垢が湿っている、腋毛が濃い、衣類に黄色いシミが残る……など

40. 日本人のワキガ体質の割合は、全体の10~15%程度

41. 欧米人の場合、ワキガ体質の割合は70%以上ともいわれる。ただしワキガ体質=ワキガではない

42. 汗臭とワキガは発生のメカニズムが異なる。汗臭の発生源はエクリン腺、ワキガの発生源はアポクリン腺

43. アポクリン腺から出る汗は粘度があり、成分として糖質や脂質、アンモニアなど栄養分が含まれ、皮膚の常在菌が繁殖しやすくなりワキガ臭を発生させるといわれる

44. 『万葉集』にはワキガに関する歌がみられる。「童ども草はな刈りそ八穂蓼を穂積の朝臣が脇草を刈れ」

45. 平安時代の貴族の間では、体臭を隠すため衣類や髪に香を焚き込める「移り香」の風習が流行した

46. ヨーロッパで香水が発達したのも体臭を隠すため

47. 足のニオイの3大元凶は、足裏の汗、角質、ムレ。

48. 足にはアポクリン腺は存在しないことから、足のニオイとワキガにはまったく関連がない

49. 足裏には1平方センチメートルあたり約300、背中の5~10倍の汗腺が集中し、1日にコップ1杯分の汗をかくといわれる

50. さらに足は角質層が厚いうえに靴などで長時間密閉されるため細菌が繁殖してニオイが発生しやすい

51. 足独特のニオイのもとは「イソ吉草酸」という脂肪酸

52. 病気が体臭の原因となる場合もある。たとえば汗にアンモニア臭が混ざるときは肝機能障害の疑いも

53. アンモニアは健康体であれば肝臓で分解され尿として排出されるが、疲労などで肝機能が低下すると皮膚からアンモニアが放出され「疲労臭」と呼ばれる体臭を生じる

54. 糖尿病になると糖を代謝するインスリンが欠乏するため、脂肪を代謝してエネルギー源とするが、その副産物として生成されるケトン体が汗を通して排出されると甘酸っぱい体臭となる

55. ダイエットが体臭の原因となることもある。摂取カロリーを極端に減らすと中性脂肪が燃焼し脂肪酸となり汗とともに排出されて「ダイエット臭」が生じる

56. また、無理な食事制限により疲労物質の乳酸が増えることで汗にアンモニア臭が生じる。これもダイエット臭

57. 飢餓状態で糖分が不足したときにも脂肪が代謝されケトン体が生成されるため「飢餓臭」とも呼ばれる

58. 便秘も体臭の原因のひとつ。腸に留まった便がガスを発し腸壁から体内に吸収され体臭・口臭となることがある

59. 体臭を抑えるために避けたい食品は肉類。タンパク質が分解されるとき強いニオイのもとが発生する

60. 揚げ物は酸化した脂の供給源。揚げ物の摂取を控えるのも加齢臭対策のひとつ

61. ストレスも活性酸素、加齢臭を増す要因となる

62. 抗酸化作用のある物質は、臭いのもととなる活性酸素の影響を防ぎ、加齢臭を防ぐ効果があるとされる

63. とくに抗酸化作用の働きがあることで知られる栄養素がビタミンCとビタミンE

64. ビタミンCを多く含む野菜はパセリ、ブロッコリー、ピーマン、小松菜、ほうれん草、シソ、ニラ、春菊、トマトなど

65. フルーツではアセロラ、イチゴ、キウイ、甘柿、レモン、オレンジ等柑橘類などがビタミンC豊富

66. ビタミンEが多く含まれる野菜はカボチャ、アスパラガス、アボカド、タケノコ、ニラ、ほうれん草、春菊など

67. ウナギ、サケ、カレイ、サバ、サンマ、シシャモ、イクラ、ブリ、ほたて、マグロなど魚介類はビタミンEを多く含む

68. その他、玄米やアーモンド、コーン油もビタミンEが豊富に含まれる

69. 加熱すると壊れる性質があるビタミンCを含む食品は生で食べるほうが効果的

さらに効果的にビタミンCを摂るには

70. ビタミンCは満腹時の方が長時間吸収され続け、吸収量も空腹時の1.6倍に上る

71. 他に赤ワインやチョコレートに含まれるポリフェノール、ニンジンに含まれるβカロチンも抗酸化物質の代表

72. 緑茶に含まれるカテキン、ゴマに含まれるセサミノール、大豆に含まれるイソフラボンも活性酸素抑制に有効

73. 抗酸化作用が高いリコピン、コエンザイムQ10、白金ナノコロイド、アスタキサンチンはサプリメントで摂取可能

74. めかぶや納豆は腸内環境を整え、腸内を発生源とする体臭の改善に効果があるといわれる

75. 緑茶は、口臭の原因のひとつ舌苔に生息するメチルメルカプタンの除去にも優れた効果があることが判明

76. 体臭を防ぐ方法として、主に「制汗」「殺菌」「消臭」「代謝抑制」「洗浄」「マスキング」などがある

77. 「マスキング」は、香水など別の良い香りや強いニオイにより悪臭を包み隠してしまうこと

78. 体臭対策の代表的な成分は、ミョウバンや柿渋など

79. ミョウバンは古代ローマ時代から制汗剤として使われ、世界最古のデオドラント剤ともいえる

80. ヨーロッパでは古くからミョウバンの結晶を「アルム石」と呼び、デオドラント剤として使用していた

81. ミョウバンは酸性の性質があり、アルカリ性のニオイ成分であるアンモニアを中和し消臭効果をもたらす

82. もとは無臭の汗に雑菌が繁殖して体臭に変化する時間の目安は1~2時間程度

83. 汗をかいたら早めに拭き取るのが防臭に効果的。乾いたタオルよりも濡れタオルで拭くほうが効果は高くなる

84. 制汗剤は、収れん作用のある成分により物理的に汗の量を抑える効果のあるもの

85. デオドラント剤は臭いを発生させる雑菌を退治したり菌の繁殖を阻止する効果があるもの

86. 制汗剤は入浴直後に使うのが効果的。ただし老廃物の排泄を妨げるため使い過ぎは逆効果となることもある

87. 有酸素運動、サウナも加齢臭対策に数えられる

88. 体を洗いすぎると雑菌の繁殖を抑える役目を果たす皮膚の常在菌まで洗い流し、体臭が強くなる場合もある

89. サントリー「プラスデオ」は4種のポリフェノールが配合された加齢臭対策石鹸としてヒットした

90. 資生堂では加齢臭を特別な調合香料と組み合わせて良い香りに変調させる手法「ハーモナージュ効果」を取り入れた商品も開発

91. 加齢臭は繊維に染み付きやすく、一般的な体臭と比べて頑固で落ちにくい性質がある

92. 衣類や寝具についた加齢臭は、セスキ炭酸ソーダを洗剤代わりに使って洗うと効果的

93. 水洗いや洗剤ではなく、オゾンの力を利用して衣類についたニオイを消す洗濯機も登場している

94. 2010年Googleで「体臭」というキーワードが最も多く検索された都道府県は宮城県

95. 「体臭」で検索された割合は1位の宮城県を100とすると、2位北海道44、3位福岡県41

96. 通産省が実施したアンケートによると「自分の口臭・体臭を気にしている」と答えた人は42%。「太り過ぎないよう食事に気を使う」と答えた人38%よりも多い

97. 「父の日に関する意識調査」で父親嫌いの女子高大生が父親に望むこと1位は「加齢臭などニオイがしないこと」

98. 2013年ブラシナが実施した体臭・加齢臭に対する調査で「いいニオイがしそうな40代以上の有名人」1位は福山雅治、「加齢臭のキツそうな有名人」1位は出川哲郎

99. 「スメハラ=スメルハラスメント」とは体臭や口臭など自身のニオイをケアせず、周囲に不快な思いをさせること

100. 周囲に配慮し、意識して自分の体臭をマネジメントすることを「スメルマネジメント」という

(モノ・マガジン2016年8月16日・9月2日合併号より転載)

4円君と仲間たちは匂いに敏感である。KENZOの香水が好きである。

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